2014年6月29日日曜日

#520 イーハトーブの旅 一日目

ギリギリにかけていたアラームが鳴動しているが、10分ほど寝坊してしまった。既に危機的時間帯に入っており、しかも外は雨。猛ダッシュで準備をして、カッパを着こんで3号機で気仙沼駅へ向かう。駐輪場になんとか押し込み、H先輩、T先輩と合流する。朝食を調達して盛行きのBRTに乗り込む。

この地を初めて訪ねるT先輩に少し案内をしながら、順調に北へと向かう。同じように旅を目的とした乗客が窓を解放したが、雨滴が自分を直撃するので、遠慮していただいた。途中駅で乗客を乗せ、ほぼ定刻に盛駅に到着する。

乗り換え客や用務客で、待合室は結構賑わっていた。三鉄から降りてきたお客さんで、作業服に雨除けカバー付きのリュックに長靴、手には弁当と、いかにもこれから仕事に行くぞという方がいた。田舎っぽさに微笑みつつ、通学だけでなく通勤客にも利用されているのだと思うと、少しうれしくなる。
駅舎内の津波避難場所の案内
三鉄の待合室で、係の方に話しかけられる。こういった交流は、実は最高のおもてなしだったりする。そして、ばったりと高田の友人の同僚である「池ちゃん」と出くわす。本当に、盛では知っている人と顔をよく合わせる。
H先輩が入手してくれた「切符カット」
観光バスで団体客がやってきた。1両編成だと満員になるのでは...と危惧したが、今日は3両編成。1両は定期列車、1両は団体客用の震災学習列車、そして1両は回送。36-700型で統一された編成はとても珍しかった。
編成美がよい...
全線開通ヘッドマーク
ボックスシートがほぼ埋まり、ロングシートにもまばらに乗客をのせて出発する。
H先輩もT先輩もそれぞれがそれぞれに三鉄の情報を持っていて、三鉄談義で盛り上がる。負けじと、こちらも持てる情報を吐き出すことに。こんなに一般の方、しかも全国に知られている三セクの鉄道はないだろう。

吉浜を過ぎて、4月に開通した区間を走行する。開通日の大混雑を考えれば、今日はリラックスして車窓を楽しむことが出来た。バスとは全く違う、快適すぎる乗り心地を楽しみ、列車は何事もなく釜石駅へ。
盛側は異なるヘッドマーク
赤線は浸水深
入れ替え中のC58
1時間ほどのインターバルがあったが、かなりの雨が降っている。駅前のサン・フィッシュ釜石へ。今の季節、ちょうど生ウニが大ブレイクしており、店内の魚屋さんには、牛乳瓶に似た形状の容器に詰められたオレンジ色の宝石が沢山並べられていた。
少し腹ごしらえをして、少しうろうろしてから駅前のバス停へ。やや横殴りの雨が降っており、バス停の屋根は雨を避けるだけで精いっぱいだった。程なくして到着した道の駅やまだ行きの県交通バスに乗り込む。補助席の付いた車体の長い珍しいバスだった。

窓が曇って外があまりよく見えないので、ついついスマホをいじくってしまった。車窓に流れる景色は、以前とは着実に変化している。また時間を見つけて訪ねてみないと...

定刻に道の駅やまだに到着する。下車のタイミングで、途中から乗ってきたおんつぁんに「どこから来たの?」話しかけられた。3人同行の中で自分に声を掛けられたのは、自分が話しやすい雰囲気を醸し出しているのだろうか...

わずかな時間の乗り継ぎに成功し、宮古へと向かう。途中からお客さんも次々と乗ってきて、程よく満席になった。比較的新しめの県北バスは、座り心地がとてもよく、このまま久慈まで運んでもらいたいと思った。といっても、鉄道の圧倒性にはかなうものではないが...このころから、雨はあがりかけていた。
宮古に到着する。ここでの乗り継ぎもあまり時間がない。少しお土産を買い求め、2両編成の北リアス線に乗り込む。既にボックスシートは満席で、ロングシートもいっぱいになってしまい、立客が散見される。
三鉄オリジナルな36-100+200
ロングシートに3人並んでさらに北へと向かう。
車窓から眺める田老の防潮堤
田老で大量に下車するものの、比較的車内は混雑したままだった。途中田野畑からも大量乗車が。南より北の方が人気が高い。
撮影に使用された車両だった
雨上がりとともに、海からやませ的なものが流れ込んでくる。せっかくの車窓が白濁してしまい、ほぼ何も見えなくなってしまった。
列車は久慈に到着。急ぎコインロッカーに荷物を投じ、小袖海岸行きのバスに乗り込む。今日の最終便だが、他にも数名。以前訪問した時は激混みで車窓を眺めることもままならなかったが、今日はゆっくりと見ることが出来る。天気さえよければ...
つりがね岩
小袖海岸遠景
折り返しのバスまで30分しか時間がないので、ガイドさんが大急ぎで案内してくださる。自分は2度目なので問題ないが...
有名な場所
マンホールも北限の海部
「グワシ」ではない
嵩上げの完了した防潮堤
生ウニが最高すぎる件
防潮堤のことは誰も気にしていない
復旧工事中の防潮堤
行きと同じバスに乗り、市内へと戻る。途中で降りたお客さんが「私、ツブ貝買ってないので、前のお客さんの忘れものだと...」と言い、運転士さんに袋を渡す。行きの乗客もツブ貝など誰も持っていない...

次の列車まで時間があるので、駅前を散策する。
久慈駅前のシンボルが見られるのもあとわずか...
もぐらんぴあの仮水族館
さかなクンさんの多彩さを知る
あまちゃんで使われた小道具
なんとか閉館前に滑り込み
ジオラマの袖が浜
三重県民の来場者は少な目
そして、昭和テイストがあふれ出る裏通りを進み、T先輩が願って止まなかった「モカ」という喫茶店へ。
店内にはあまちゃんの出演者や著名人のサインが所狭しと飾られていた。タイムスリップしたような雰囲気を味わいながら、腹ごしらえをする。
自分はパスタ
T先輩はたまごサンド
少しお腹も満たされ、久慈駅へを戻ることに。切符を買い求めたり、構内を見て回ったり。
改札が開き、列車へと乗り込む。最近好きなキハ40でうれしかった。
冷房なしの暖房車
サボがよい
2両編成の列車は、少しの乗客を乗せて北に向かう。八戸線は全国でも屈指の車窓だと説明し、海辺の絶景を楽しむ。乗客が少ないので、窓を開けても怒られることはなさそうだ。
種市あたりで車窓は真っ暗になってしまい、種差海岸の絶景を楽しむことは出来なかった。車内は穏やかな時が過ぎ、そのまま八戸に到着する。

わずかな乗り換え時間で、はやぶさに乗り込む。今までとは違う都会的な空気が車内を支配していた。30分ほどで盛岡に到着する。

気仙沼から八戸まで、観光も含めておよそ14時間。宮古からでも7時間だったことを考えると、三陸を南北に移動することは困難を極める。また、そのように南北を移動することも稀だろう。この「行きにくさ」が観光の売りになるのか、はたまた復興の妨げになるのか。
三陸道が全線開通した暁には、大きく交通体系が変化するだろう。在来線にはあまり手が加えられていないこの地方、その未来は明るくはなさそうだ。
E6系の連結シーンをしたいというH先輩のリクエストがあり、しばしホームで撮影に興じる。

再び雨の降ってきた盛岡の街を歩き、ホテルに向かう。懇親会をしようと、ほぼ隣接の居酒屋に立ち寄るが、雰囲気的に合わなかったので別に店に。隣席の学生が超大盛りの唐揚げ定食を食べており、見ていてお腹がいっぱいになってしまった。

コンビニで朝食を買い求め、宿へと戻った。