2014年7月13日日曜日

#534 KESEN Explorer -二つの未来都市-

早朝に肌寒さで目覚める。窓を開けていたからかな...と思ったら、昨年度まで浜松から派遣されていたS氏がクーラーを全開で付けていた。薄手の布団をかけて、寒さをしのごうと思ったら、S氏がモソモソと動き出し、エアコンを止めてくれた。

アラーム直前に起床する。既にS氏は出発済みだった。「七夕人の部屋」を少し片付けてから、食堂で挨拶を...と思ったら、誰もいなかった。こっそりと退場する。

コンビニで朝食を買い求め、三陸道経由で夏虫のお湯っこへ。開店間もなくだったが、既に何名か来場者がある。久々の大きいお風呂は気分がよかった。そういえば、気仙沼にももうすぐスーパー銭湯が出来るっけ...スパルタンなバイク旅行などが好きな三重のH先輩が気に入っていた「湯みえ~る」は復活しないんだろうな...

クルマを北に走らせ、最近できた石碑を見るために吉浜へ。
吉浜の奇跡と書かれている
石碑のQRコードを読むと、ここへ繋がる
農地には緑が甦る
嗚呼惨哉海嘯
車両のラッピングは終了したが、吉浜駅はサクラの装いのまま
盛行きを見送る
結構な乗客だった
吉浜は、東日本大震災による人的被害が行方不明者1名という結果を生み出したことから、奇跡とか、その文字からLuckyBeachなどと呼ばれたりする。
偉大な先祖が私費をなげうち、住民を説得して高所移転したこと、そして港まで遠いという不便さに住民が負けず、高所移転を守り続けたこと。こういったたゆまぬ努力を続けたからこそ、今回の結果を勝ち取ることが出来た。そこは奇跡というよりも、必然と思えてならない。

今、三陸の多くの街が高所移転を行っている最中である。吉浜とは異なり、その費用の多くに国民の税が投入されている。果たして、100年後も今の思いが途絶えずに生き残っているか...自分の目では確かめられないが、次の津波による犠牲者はゼロで会ってほしい。吉浜は、ある意味、将来の三陸を既に具現化している「未来都市」なのだ。

45号線を南下し、越喜来から海側へ。甫嶺、綾里を通って合足(あったり)へ。確か昭和三陸の後に高所移転したと記憶している。海岸には直立型の防潮堤が建設途中だった。
岩手県は宮城県と技術基準が異なるからだと思うが、前法は3分、裏法は直、基礎部にはフーチングが設けられている。安全率など安定計算の条件が異なるかもしれないが、コンクリートボリュームは圧倒的にこちらの方が少ない。
そして、久々に赤崎を走る。仮囲いのあった永浜山口二次選別場は、既にその姿を消していた。

昼食は、しばらくご無沙汰していたにKojikaに立ち寄る。奥さんから室根山のパラグライダーの案内をいただく。かなり魅力的、しかし一人で行くのは忍びない。いずれ同僚とアタックをかけてみよう。
マスターに最近ある資格を取得した旨を伝える。「こっちで怪我したら、何のために来てんだ~て言われるよ(笑)」と。確かに...
そして、もはやファミリーとされているO氏と少し話をする。三陸の幸を東京などに売りたいが、品質管理の面で要求されるクオリティに達していないとのこと。自分たちの都合やルールでは通用しないということを、改めて思い知らされた。

食事を終え、住田町農林会館へ。「里山資本主義」という著書で全国にその名が知られている藻谷浩介の後援会が行われる。以前来訪されたKさんから本をいただいていたが、実はまだ読んでいない...
100名の定員を大幅に上回る170名の来場者で、会場は熱気に包まれていた。5000回(!)もの講演をこなされている氏の話は、とても面白かった。化石燃料として国外に流出しているマネーを止めるための取組、6次産業などなど...なんとなく、林業の未来が見えたような気がしてならない。そう考えると、大量のリソースを有し、その利用方法も熟知している住田は、未来を先取りした街なのかもしれない。

引き続き、住田町役場新庁舎の見学会へ。内外装ともすっかり出来上がり、引き渡しを待つばかりとなっている。木造2階建、72%を町産材で賄っているというこの建物、日本どころか世界に自慢できる。あぁ、うちの合庁も木造でやってほしいなぁ...
入口のホールとシンボルツリー
レンズ構造の梁
赤:発発 青:太陽光
ラチス構造の耐力壁
1F執務室
2F執務室
町長室
町長室内部
ラチスから除く住田の街
ラチスって、蔵のなまこ壁っぽい
あす意味最強のお二人
RC造よりコストダウンが図られたというこの建物、行政の建物にしては珍しく、「ここで働きたい!}と思わせる魅力に満ち溢れている。
自分 藻谷氏 O氏
外観
そこそこ雨が降っており、路面はすっかり濡れていた。
帰路、モーターズショップエビナに立ち寄り、諸手続きを済ませる。実母の協力で、予想以上に素早く手続きが済んでいる。

大型ショッピングセンターにより、コタツ布団をクリーニングに出す。去年の今頃は寒いと言っていたが、今年はまだ幾分暖かい気がする。パック寿司を買い求め、部屋で食べた。